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エキスパートからのメッセージ
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医師からのメッセージ~これからFLSを始める方へ~
松下 隆 先生
福島県立医科大学外傷学講座 特任教授/新百合ヶ丘総合病院 外傷再建センター センター長/南東北グループ 外傷統括部長/NPO法人日本脆弱性骨折ネットワーク 前理事長
2022年度の診療報酬改定により、骨折リエゾンサービス(FLS:Fracture Liaison Service)の取り組みに関連した評価が行われました。75歳以上の大腿骨近位部骨折患者に対する骨折後48時間以内の観血整復内固定術への加算である「緊急整復固定加算」と人工骨頭挿入術への加算である「緊急挿入加算」、および大腿骨近位部骨折患者に対する継続的な骨粗鬆症の評価と治療等を実施した際の評価である「二次性骨折予防継続管理料1~3」の新設です。これは、国が脆弱性骨折に対する迅速で適切な治療と二次骨折予防の重要性、そしてその手法としてのFLSの有用性を認めた結果といえます。これまで、診療報酬上の評価のない世界であっても、二次骨折予防に向けたFLSの活動に情熱と信念を持って取り組んできた医療従事者の皆さまにとってはその努力が報われた思いでしょう。
先に述べた「二次性骨折予防継続管理料」の算定要件には、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」だけでなく、日本脆弱性骨折ネットワークと日本骨粗鬆症学会が協同で2019年に発行した「FLSクリニカルスタンダード」に沿って、適切な評価及び治療等を実施することが示されています。FLSクリニカルスタンダードは、“すべての脆弱性骨折患者がFLSの恩恵を享受することで二次骨折を回避し、QOLを維持する”ことを目的としており、そのために可能な限り多くの病院において二次骨折予防の取り組みを効率的に行える最低限必要な指標を提供するものです。今回の診療報酬改定をきっかけにFLSを導入あるいは導入を検討している施設は多いと考えられ、この流れが二次骨折予防のための骨粗鬆症治療開始率と継続率の向上につながることを期待しています。
ここまで述べてきたように、FLSの主な目的は「二次骨折予防」ですが、ほかにも魅力があります。それは、FLSに関わるさまざまな職種の医療従事者にとっても専門性を確立し、日々成長できる場である、ということです。FLSは医師だけでなく、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など多職種がその専門知識と技術を発揮し、それぞれが協働することによって成り立っています。まさに多職種が輝けるステージであり、スタッフ一人一人が自信と誇りを持って取り組むことで、二次骨折予防だけでなく脆弱性骨折の治療も含めその可能性はさらに拡がると期待しています。
本サイト「FLS College」はFLSに関する総合的な情報提供の場であり、FLS導入を検討している施設が直面する課題の解決するヒントにあふれています。本サイトを活用することで質の高いFLSを提供する施設が増え、その恩恵を受けられる患者さんが一人でも増えることを祈念いたします。