FLSのための基礎知識

骨粗鬆症の診断

骨粗鬆症の診断・検査

骨粗鬆症の診断基準

「原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)」(日本骨代謝学会、日本骨粗鬆症学会合同による原発性骨粗鬆症診断基準改訂検討委員会)によると、原発性骨粗鬆症は、脆弱性骨折の有無と骨密度により診断します。

脆弱性骨折がある人で、それが椎体骨折または大腿骨近位部骨折の場合、もしくはその他の脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満の場合、骨粗鬆症と診断します。
脆弱性骨折がない人でも、骨密度がYAMの70%以下または-2.5SD以下であれば骨粗鬆症と診断します。

YAM:Young Adult Mean
若年成人平均値。腰椎では20~44歳、大腿骨近位部では20~29歳の健康な女性の骨密度平均値を100%として、それに対して何%であるかを比較するための指標。

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骨粗鬆症検査の種類

骨粗鬆症の検査には骨密度測定、X線検査、骨代謝マーカーの測定があります。
原発性骨粗鬆症は、骨折の有無と骨密度によって診断されますが、骨密度は腰椎または大腿骨近位部で測定する必要があります。
また、脆弱性骨折のなかでも椎体骨折は本人が自覚していない場合もあるため、X線検査が必要です。

骨密度検査の種類

骨密度検査は面積あるいは体積当たりの骨の量を測定する検査です。
骨密度を測定する方法にはDXA法、pQCT法、QUS法(超音波法)、MD法とさまざまな種類があります。

  • DXA法
    DXA法は、2種類のX線を骨に当てて、X線の吸収率から骨密度を測定する方法で、腰椎や大腿骨の海綿骨、手首などで測定します。
  • pQCT法
    pQCT法は、専用の小型X線CT装置を用いて橈骨(手首の骨)などを撮影し、X線の吸収率から骨密度を評価する方法です。
  • QUS法
    QUS法は、定量的超音波測定法と呼ばれ、超音波が骨の中を伝わる速度を測定することで骨密度を評価します。
    通常は踵の骨で測定します。
  • MD法
    X線撮影画像の濃淡や骨の幅から骨密度を評価する方法(RA法)の一つです。
    第二中手骨(人差し指の付け根から手首までの骨)を用いて測定します。

骨密度検査の保険点数

骨密度の検査における保険点数は、その手法によって異なります。
DXA法による腰椎撮影を行った場合は360点、同日にDXA法により腰椎撮影と大腿骨撮影を行った場合は90点が加算され450点が算定できます。
その他、MD法やSEXA法、pQCT法などは140点、QUS法は80点が算定できます。

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骨粗鬆症のX線検査

X線検査では、椎体に骨折や変形がないかどうかを確認します。
圧迫骨折にもさまざまな形があります。前方、真ん中がへこんだもの、全体的に薄くなったものなど、元の高さより20%以上減っているものを圧迫骨折と判定します。

圧迫骨折:骨が押しつぶされるように折れること。

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骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン
2015 年版 . 東京 . ライフサイエンス出版, p30, 2015

骨代謝マーカー

骨の新陳代謝の過程で出現する物質を骨代謝マーカーといいます。骨代謝マーカーには、骨芽細胞に関与する「骨形成マーカー」、破骨細胞に関与する「骨吸収マーカー」、骨質に関与する「骨マトリックス関連マーカー」があり、血液や尿を用いて測定します。

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Point

原発性⾻粗鬆症は、脆弱性⾻折の有無と⾻密度により診断する

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