HOMEClassroom FLSのための基礎知識骨の構造と機能
FLSのための基礎知識
骨の構造と機能
骨の構造と成分
骨の構造
骨は外側から順番に、骨膜、皮質骨、海綿骨、骨髄腔から成り立っています。
- 骨膜 :
- 骨の保護や骨への栄養供給の働きがあります。
- 皮質骨 :
- 硬く、強度を保つ役割を担っています。
しかし硬さだけでは衝撃に弱いため、スポンジ状のしなやかな構成成分でできている海綿骨が弾力性を保っています。
- 海綿骨(骨梁) :
- スポンジ状の穴を多数持つ組織です。
この穴は骨髄腔といいます。
- 骨髄腔 :
- 骨髄腔には骨髄が詰まっており、造血を行っています。
骨の成分
骨はカルシウムなどのミネラルとコラーゲンからできています。
骨の構造は鉄筋コンクリートの建物にたとえられます。
コンクリート部分はカルシウムなどのミネラル、鉄筋がコラーゲンです。
コンクリート(ミネラル)が減ってしまったり、鉄筋(コラーゲン)がもろくなると、建物が倒れやすくなります。
骨の役割
骨は、筋肉、関節、神経などと同様に運動器です。運動器はそれぞれが連携しているため、骨に障害が起きると体をうまく動かすことができなくなります。そのほかにも骨はさまざまな役割を担っています。
骨には主に以下の4つの役割があります。
(1)体を支える
(2)臓器を守る
(3)カルシウムを蓄える
(4)骨髄で血液成分を作る
(1)体を支える
骨が体を支えていることで、立つ、座るなどの姿勢を保つことができます。
(2)臓器を守る
骨は臓器を保護する役割も担っており、たとえば脳は頭蓋骨、心臓や肺などは肋骨によって守られています。
(3)カルシウムを蓄える
骨はカルシウムの貯蔵庫でもあります。
カルシウムは丈夫な骨を作るだけでなく、生命の維持においても重要な働きをしています。体内のカルシウムの99%以上(成人で約1kg)は骨に蓄積されており、血中カルシウム濃度が低下すれば骨からカルシウムが溶け出し補充されます。
逆に血中カルシウム濃度が上昇すると、骨に取り込まれたり尿中に排泄されます。
このように、体内のカルシウム濃度はつねに平衡状態にコントロールされています。
(4)骨髄で血液成分を作る
骨髄では、造血幹細胞が盛んに細胞分裂を行っており、赤血球・白血球・血小板といった血液の成分が作られています。
骨髄は、造血器とも呼ばれています。
骨の強さと新陳代謝
骨の強さ
骨の強さは、「骨密度」と「骨質」によって決まります。
骨粗鬆症の予防には、カルシウムなどを多く摂って骨密度を上げることがよいとされていますが、骨密度が高くても骨折を起こす人もいます。
NIH(米国国立衛生研究所)のコンセンサス会議において、骨強度、つまり骨の強さは骨密度だけではなく、骨質も関与していることが示されました。
骨質とは、骨の質や構造、骨の代謝の状態を示し、これらに問題があると、骨が弱くもろくなってしまいます。
図表をクリックすると拡大してご覧になれます。
骨のリモデリング
骨は休むことなく、破骨細胞が古い骨を壊し(骨吸収)、骨芽細胞が新しい骨を作る(骨形成)といった新陳代謝(骨代謝)を繰り返しており、これを骨リモデリングといいます。
骨リモデリングは、休止相、活性化相、吸収相、逆転相、形成相といった5つの相に分けられます。
休止相は、骨吸収も骨形成も行われていない時期です。
破骨細胞が活性化されると(活性化相)古い骨が溶かされ吸収されます(吸収相)。吸収された部分に骨芽細胞が発現・分化し(逆転相)、新しい骨が形成されます(形成相)。
図表をクリックすると拡大してご覧になれます。
骨の強度は骨密度と骨質で決まり、
骨リモデリングという新陳代謝を繰り返している