FLSのための基礎知識
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは、骨強度が弱くなり、骨折するリスクが高くなる疾患です。
WHOでは、「骨粗鬆症は、低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」と定義しています。
日本での患者数は男性300万人、女性980万人、合計1,280万人と推計されています。
骨粗鬆症による骨折は、寝たきりや慢性腰痛、要介護の原因にもなります。
骨粗鬆症は女性に多くみられる疾患ですが、男女とも骨の健康を保ち、すべての年齢を通じて、骨粗鬆症を予防することが大切です。
参考:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015 年版 . 東京 ,
ライフサイエンス出版 , 2015
世界での有病率
世界での有病率を見てみると、80歳の女性では約40%、90歳では60%以上の方が骨粗鬆症であると推定されており、その数は約2億人ともいわれています。
骨粗鬆症は決して珍しい疾患ではありません。
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日本での有病率
大規模住民コホート研究ROAD( Researchon Osteoarthritis Against Disability)の結果によると、脆弱性骨折の既往と骨密度評価による原発性骨粗鬆症の診断基準から求めた40歳以上の日本人における骨粗鬆症の有病率(腰椎)は、男性3.4%、女性19.2%でした。
一方、大腿骨頸部では男性12.4%、女性26.5%でした。
女性での有病率は年齢と共に高くなり、80歳以上では腰椎43.8%、大腿骨頸部65.1%にのぼります。
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日本での患者数
日本人における骨粗鬆症の年代別有病率を用いて、2005年の年齢別人口構成に当てはめて算出した骨粗鬆症の患者数は、男性300万人、女性980万人、合計1,280万人と推計されました。
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骨粗鬆症の検診率
2015年度における都道府県別の骨粗鬆症検診率は、栃木県、山梨県、福島県、群馬県などでは10%を超えていますが、神奈川県、和歌山県、島根県は1%以下でした。
骨粗鬆症検診率の高い県では、要介護率が低いとの報告もありますが、検診率の最も高い栃木県でも約14%と非常に低いのが現状です。
山内広世ほか: The Journal of Japan Osteoporosis Society 4(4): 513, 2018
骨粗鬆症の骨の状態
骨粗鬆症の方の骨は「す」が入ったような粗い状態で、もろく、骨折しやすくなっています。
骨粗鬆症は痛みがないケースも多く、自覚症状がないうちに静かに病状が進行していくため、注意が必要です。
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骨粗鬆症の分類
骨粗鬆症は原因によって「原発性」と「続発性」に分けられます。
「原発性」は主に閉経や加齢などによって起こるもの、「続発性」は骨密度を低下させる他の疾患や薬剤によって起こるものをいいます。
原発性骨粗鬆症は、閉経後骨粗鬆症と男性骨粗鬆症で約90%を占めます。
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骨粗鬆症の原因
女性ホルモンと骨粗鬆症
女性ホルモンはカルシウムの吸収を助けたり、破骨細胞に働きかけ骨吸収を抑える作用があります。
そのため、閉経による女性ホルモンの急激な減少によって骨密度が低下し、骨粗鬆症になりやすくなります。
骨量は20歳前後でピークに達します。そののちほぼ一定で推移しますが、50歳前後から急速に低下します。
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骨粗鬆症の成り立ち
骨代謝が正常な場合は骨吸収と骨形成のバランスがとれており、骨量はほぼ変化しません。
しかし、加齢や女性ホルモンの減少などによりこのバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回ると骨量が減少し骨粗鬆症となります。
骨吸収も骨形成も高まっている場合は「高代謝回転型」、低くなっている場合は「低代謝回転型」といいます。
閉経後の女性では、女性ホルモンの減少により骨吸収が亢進する高代謝回転型と、加齢による低代謝回転型の両方があります。
男性では、性機能低下が緩やかであるため、低代謝回転型が主な病態です。
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脆弱性骨折とは
脆弱性骨折とは
脆弱性骨折とは、骨量の減少や骨質の劣化によって骨強度が低下し、軽微な外力によって発生した非外傷性骨折です。
軽微な外力とは、立った姿勢からの転倒かそれ以下の外力をさします。
転んで手をついた、重いものを持ち上げた、尻もちをついた、など健康な方では折れないような外力による骨折です。
参考:Soen S, et al: J Bone Miner Metab 31: 247-257, 2013,
宗圓聰ほか: Osteoporosis Jpn 21(1): 9-21, 2013, [原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)]
脆弱性骨折を起こしやすい部位
脆弱性骨折により骨折しやすいのは、腕の付け根、手首、背骨、足の付け根です。
骨粗鬆症になると、立った姿勢から転倒しただけで骨折しやすくなります。
これらのなかでも足の付け根(大腿骨近位部)の骨折は患者さんのQOLを低下させ、寝たきりなどを引き起こし将来の死亡リスクを高めます。
参考:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015 年版. 東京,
ライフサイエンス出版, p20, 2015
骨粗鬆症になると転倒しただけで骨折しやすくなり、なかでも大腿骨近位部の骨折はQOLの低下や寝たきりを引き起こし将来の死亡リスクも高める